終戦直後の、空気感が味わえる貴重な記録です。その内容の臨場感にまず驚かされます。松田から渋沢までの運転席からの展望を記した部分は、トレインシュミレーターで寸分たがわず再現でき、50年変わっていないことが実感できます。小田急電鉄の社史ではこの時代をどう書いているのか照らし合わせると、しかし奇怪なことに、当然書かれなければならないはずの、経堂車庫焼失について全く触れられていなかったり、酒匂川近くでのバスとの衝突事故が社史では書いてなかったりと、ミステリアスさも後々までたのしめます。ラストのゾッとするようなお話は、この本を忘れがたいものにさせるでしょう。